なんとなく思いついたんで、ちょっと書いてみますが。
いつものように「ブログに直で書き連ねていく」方法なんで文体がおかしいとこも多々ありますがご容赦ください。

基本、プロットもストーリーもなんも考えないで、ふと浮かぶ風景を書き連ねていく書き方なので。
もっと見えているものは広いのですけどね、文才があんま無いので、こんな感じでご勘弁を。
イズクモと主人公の最初の出会いのシーンなんですが、時間軸を超えたところでの話になります。
一応、番外編なんですが。気が向いた時に徒然書いていく感じでまとめてみようかと思いますけどね。
この<遭遇編>もラストまでイメージは見えているのですが、文章化するのが面倒なんで時間あるときにしていきますね。

そういえば、主人公の名前とか容姿とか、まったく書いてないことに気づきました。
わざとじゃありません、忘れてただけです。

ということで、不定期連載の番外編。

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もう外には意識を向けぬよう、

あの日から、そうしてきたはずなのに。

・・・・・・・・この懐かしい匂いはなんじゃ。

この、柔らかい懐かしい感覚はなんじゃ?。

わしの意識をゆっくりと奥底から揺り動かしてくる、この感覚はなんじゃろうか?


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あれが鉄砲というものか!

油断した。
あのように遠くから狙えるとは思いもしなかったのだ。

早く下草の茂る林へと逃げねば。

近くでもう一度土煙が上がり、そのあとに大きな岩をぶつけ合うときのような、乾いた衝撃音が響く。
同時に前足に強い灼熱感を感じた。

しもうた、避けそこなったか。

それでも全力で走る。開けた場所から一刻でも早く逃れなければ命はない。
あの鉄砲というものから早く逃れなければ。

もう一度脇で土煙が上がるのを見て、林の中に逃げ込んだ。
下草の生い茂る中に逃げ込んで、ほっと一息つく。

最近の猟師はあのような道具も使い始めたのか。今後は鉄の匂いにはもう少し注意せねばなるまい。

そう思いながら自分の前足を見て、ふらっと意識を失いそうになった。
肉が半分持って行かれて、骨が見えるくらいになっていた。

そこからは血が大量に溢れてきている。
走ってきた先をみると、地の跡が点々と続いている。
このまま移動しても、血のあとで見つかってしまう。

しかし、いくら舐めても追いつかない。

自分の血の味で、気持ち悪くなってくるがやめるわけにはいかない。
鉄のような匂いで気が遠くなってきそうだ。

いや、実際に急激な貧血により、気が遠くなってきたのだ。
視界がぼやけてくる。考えようにも頭がまわらない。
それに、体もどんどんと冷えてきて、
寒くて足も動かなくなってきた。

『このままでは明日は鍋の中じゃ。なんとかせねば』

遠のく意識に抵抗しながら、少しでも目立たない物陰に移動しようと立ち上がったが、次第に体の動きも鈍くなってくる。
朦朧としてきた意識のなかで、草をかき分けて近づいてくる足音が聞こえてきた。

さっきのやつらか、血の跡を追ってやってきたのか。

逃げようにも体が動かない。

足音がすぐ後ろに近づいてきた。

これまでか。

振り返ると、おぼろげに見える視界の中で、
大きな手が自分に差し伸べられるのが見えた気がした。

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何かパチパチと弾ける音が聞こえる。
なぜか腹の方が暖かい。さっきまで流れ出る血と一緒に、体温も下がっていた感じがしたのに。
今は暖かく感じるのはなぜだろうか?

しばらくそのまま考えて、自分の記憶の最後の場面を思い出した。
近づいてくる足音と、大きな手。


ハッとして目を開けると、
そこは床板の上だった。
囲炉裏の横に、むしろを敷いた上に自分は寝かされているようだった。

『まずい、これから鍋の材料になるのか!』

急いで体をおこそうとするが力が入らない。
囲炉裏にかけられている鍋はグツグツと音を立てて煮込まれているようで。
火も勢いよく燃えている。

ああ、わしの最後は人に食べられてしまうのか。

だんだんとハッキリしてきた視界のなかに、鍋のむこうにいる人間の姿も入ってきた。
こいつが、わしの最後を看取るやつか。

せめて、あの世に行く前に顔くらいは覚えておこう。

そう思ってじっと人間を見る。
男は鍋の蓋を取り中身をかき混ぜている。

わしを入れる前に、下準備をしておるのか。ともに鍋の中で、わしの最後を迎える具材はなんであろうか。

そう思いながらじっと見ていると、視線に気づいたのかその男は少し間抜けな顔で笑いかけてきた

「お、目が開いたか。おい、少しは起きれるか?」

そう言って、男は鍋の中身をすくって椀にとって狐の前に置いた。

木の粗末な椀は縁も欠けてボロボロではあったが、男がいつも大切に使っているのであろう。
使い続けられたもの独特の色合いになっている。

『?獲物に食事を与えるのか?妙な風習をもっておるやつじゃな』

ふんふんと匂いをかいでみるが。そこまで妙な匂いはしない。普通に野菜が煮込まれている匂いだ。

男はまた間抜けな笑顔で笑いかける

「ほれ、食べんと減った分の血が増えんぞ」

もう一度匂いを嗅いでみる。たしかに、イモと穀物の匂いしかしないので食べられないことはなさそうではあるが。

『太らせてから食おうというのか?』

どうにもこの男の意図がわからない。
血といえば、
自分の状況を思い出して、すぐに傷口を見ると、
そこには茶色い葉っぱの丸めたものとか、そういうのが巻きつけてあった。

痛みはあるが血は止まっているようだ。

「婆さんから教わった薬草でな。実際に試すのは初めてだったけど、ちゃんと効いているみたいで良かった」

そう言って笑って、

「まさか、最初に使うのが狐になるとは思いもしなかったがね」

と言って、もうひとつの椀を取り出して鍋の中身をとりわけていた。



その後、男は食事をしながらなにやこれやと話していたが。
まだ頭がぼんやりとしている身にとっては、半分以上ただの音の羅列にしか聞こえてこない。

聞き取れるなかでわかったのは、
どうやらこの男が自分を拾って、傷の手当もしてくれて。

今は餌までくれているようである。ということだった。
それに、自分を食べるつもりはないらしい。

そこで、ホッとして。
一口二口。椀に口をつけたあとは意識を失うように眠ってしまった。
囲炉裏の火の暖かさが体に染みわたってくる。

命は、助かったようじゃな。

しかし、この男の考えがわからない。
狐を助けていったいどうしようというのか?

まぁいい、今は眠ることが先であろう。